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朝丘 戻

集英社 2005-09
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ボーイズラブ・レビュー


コバルトボーイズラブ8冊目。
とりあえず第1弾で手元に届いた分は終了です。
(第2弾が届くまでちょっと休憩)

春恋。の次にこれ読んで良かった。
こっちの方が私好みです。
ついでにイラストもかなり好みでした。

そして何より文章がものすごく読みやすくなっていました。
「いぢめ」がなくなったからかな。
でもやっぱりせつないんですね……。

読んでいる最中、頭の中にGLAYの、

Way of Difference
Way of Difference


がぐるぐる回っていました。
『逢いたくて、逢えなくて 長すぎる夜に光を探しては 一人佇んでいる』
『行き先はそれぞれに違うこと 初めから知ってた二人だね』
『待ちわびて 待ちわびて 大切な季節に注ぐ思い出は 貴方で溢れている』……





紹介文です。


カメラが回っている時、俺はあの人の恋人。 モデルの榊拓人はテレビドラマの主役に抜擢されるが、内容が同性愛ものだったため激しく抵抗する。だが相手役が憧れていた俳優の恵裕次で、彼の指名だと知り、心揺れて。眩しいくらい白い愛の物語。


ドラマで恋人同士。
そしていつの間にか現実世界でも好きになっていく……。

しかし、相手の恵裕次は売れっ子の俳優。
男の恋人がいると世間にばれた時には、彼や彼の親・親戚が被る被害は大きい。
きっと仕事にも影響が出る。
だから、ドラマの撮影が終わったら別れよう。
そう決めて、撮影の間はただの一度もお互いに好きと伝え合うこともなく半同棲生活を続けます。
恋人同士なのはドラマの中の岡崎と海。
だから、精いっぱいドラマの中の岡崎を海として愛そう。
ドラまでなら、好きな人に好きといえる……。
撮影が終わったあとは、この思いを一生大事に生きていこう。

そして撮影が終わった日、家の前で愛していると伝え合ってキスをしてさよなら。

せつないなぁ……。
最後に、「恋は、心をいくらか殺すことだ
という手書きの作者の一言があります。
一面の真実だと思います。

相手を思って、愛しているから、大事にしているから、お互い納得の上で離れる。
こういう恋もありでしょう。
思い出はきれいなまま仕舞っておいて、時々取り出してうっとり眺めて。

この作家さんの小説はまだ2冊しか読んでいませんが、どちらもせつないです。
そしてどちらもきれいなまま終わっています。
ドロドロがないのです。
きれい事ではすまない領域に進むのを怖がっているみたいに、互いが好きだという気持ちだけを大事にして終わっています。

一度、この作家さんが恋愛に絡むきれい事では済まないところまで踏み込んだ小説が読んでみたい気がします。

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