4813011047権力の花
榎田 尤利 新田 祐克

大洋図書 2005-07-04
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ボーイズラブ・レビュー



出ていたのは知っていたのですが、発注した他の本の在庫がなかったので手元に来るのが大幅に遅れてしまいました。
榎田尤利さんの新刊(といってももうすぐまた新刊なのですが)です。
相変わらず多産な作家さんです。

今回は、正直イラストが微妙でした。
嫌いではないんですが……本屋さんではちょっと手に取りにくくてですね。
服は着てたんですけど、なんでだろう……。
ちょっと苦手なイラストだったのです。

前回の新刊、「誓いは小さく囁くように」とは対照的な、硬質な雰囲気の作品です。いやはや、オールラウンドな人です。(だから作品ごとの好き嫌いも出てくるのでしょうが……1冊駄目でも別のはいけるかも知れない、という可能性が大いにあると思います)

ちなみに私は今回の権力の花も前作も楽しませて頂きました。


以下ネタバレ妄想注意!






紹介文です。


「思想部の宝石」と呼ばれるエリート検事、
蔵持楓の前に現れたひとりの男、彼は敵なのか味方なのか!?
次席検事を父に持つエリート検事・蔵持楓は、
類い稀な美貌と優れた頭脳の持ち主であることから、
「思想部の宝石」と呼ばれている。
順風満帆の人生。しかし、内実は大きく異なっていた。
誰にも言えない持病。父の手駒としての男とのセックス。
そして、見知らぬ誰かからの脅迫・・・。
楓は生来のプライドの高さゆえに、弱音を洩らすことなく生きてきた。
そんなある日、取調の対象である大学教授、
陣内幸也からデートに誘われるのだが・・・!?
男同士のアダルト&スクエアな恋を読みたいあなたに!!



アオリを一読すれば分かるように、設定されている主人公の職業は架空のモノです。戦前には似たような職業もあったようですが、人間の思想などというどうにも扱いの難しいものを取り扱っただけあって、後書きでの作者の注釈は慎重を極めていました。
その甲斐あって、設定は上手く活きていたと思います。

受がⅠ型糖尿病だという設定も……。
あんまりありがたくない形で使われておりました。
実は彼を脅迫していたのは十年来の親友で、
蔵持はかれに閉じこめられて殺されかかってしまうのです。
蔵持の父親に自分の父親を殺された恨みをその息子を使ってはらそうとしてしまったんですね。

攻がちょっと軽い感じでしたが、ガチガチの受とバランスがとれてちょうど良い具合です。
やっぱり同じ目線でやり合える受攻だと、やりとりが面白く書けるんだなーと思いました。
というか、攻の陣内、蔵持をおちょくりすぎです。

俺の携帯がこわれているらしい。
 どうしてか、あんたからの電話だけ鳴らない。
 おかしいだろう? 他はちゃんとなるんだ。
 もう何度も電話してくれただろうに、出られなくてすまなかった。
 こうして謝りに来たから、許してくれ


もちろんわざとです。
いやー、蔵持さんは実に我慢強い人です。
私なら好きでもない相手がこんなふざけたこと目の前で抜かしやがったら、無言で部屋から叩きだしてやります。

保護者・被保護者という関係から恋愛に発展するようなパターンではまず書けない面白いやりとりがちらほら見れて、それだけでも結構楽しめると思います。

あんたに一目惚れしたんだ。
 最初に見た瞬間、心臓と腰骨にズキンときた


座骨神経痛だ。整形外科に行け

とか。

ストーリーは、ずっと父親に逆らえなかった息子が成長して父親にかみつけるようになるまでの過程、といったところでしょうか。

しかし、自分の立場と出世のためとはいえ、
腹の出た中年オヤジに自分の息子を売り飛ばす父親ってどうよ

いくら血が繋がってなくても普通はできないと思うんですが、
権力に目がくらんだ人間って怖いですねぇ。
というか蔵持さん、

お願いだから最初から抵抗して下さい。


ずっと言いなりだった彼ですが、最終的には彼らのやり方に抵抗します。
そのために醜い中年オヤジが雇った相手に強姦され、それでも身体張ってそのオヤジを籠絡して証拠写真を確保したしたたかさは流石です。
つーか、雇われた強姦男は、中年オヤジが写真撮影だけで満足しきれず蔵持にむさぼりついたせいで中途半端に放り出され、非常に哀れなことになっておりました。
爪の先ほどは同情してやりたいと思います
でも自業自得ですけどね。

蔵持と陣内は手を組んで政治的手段で冤罪にされかかっていた青年を助け、
陣内は思想検事として自分の正義を守って、二人の恋愛はハッピーエンド。

人の良さそうだった蔵持の親友君が裏切り者だったことが軽くショック(私好みの優男だったんです)でしたが、 これは初めの方でなんとなく予想がついてしまいます。それでも楽しめますので、さほど問題ではないのですが。

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