ボーイズラブ古典特集第1弾


・公式データ
 シリーズ名:『炎の蜃気楼』
 著者:桑原水菜
 出版社:集英社
 文庫名:コバルト文庫

本編既刊一覧
(これを順番に読めば話が分かります。
過去編・本編から少し外れる番外などは、あえて避けました。
CD、イラスト集なども多く出ていますが、品切れ絶版多数です。
古本屋さんなどで探してみて下さい。
でも個人的にはまず、小説の本編一気読みをオススメしたいです。
この世界観は小説で丸飲みしてから横に広がって欲しい気がするのです)

作品タイトル(本編のみ抜粋)
炎の蜃気楼(ミラージュ)
炎の蜃気楼(2)緋の残影
炎の蜃気楼(3)硝子の子守歌
炎の蜃気楼(4)琥珀の流星群
炎の蜃気楼(5)まほろばの竜神
炎の蜃気楼(断章)最愛のあなたへ
炎の蜃気楼(6・7・8)覇者の魔鏡 前編中編後編
炎の蜃気楼(9)みなぎわの反逆者
炎の蜃気楼(10・11・12)わだつみの楊貴妃 前編中編後編
炎の蜃気楼(13・14)黄泉への風穴 前編後編
炎の蜃気楼(15~19)火輪の王国 前編中編後編烈風編烈涛編
炎の蜃気楼(20)十字架を抱いて眠れ
炎の蜃気楼(21)裂命の星
炎の蜃気楼(22)魁の蠱
炎の蜃気楼(23~28)怨讐の門 青海編赤空編・白雷編黒陽編黄壌編破壊編
炎の蜃気楼(29)無間浄土
炎の蜃気楼(30)耀変黙示録 1234567
炎の蜃気楼(37)革命の鐘は鳴る
炎の蜃気楼(38)阿修羅の前髪
炎の蜃気楼(39)神鳴りの戦場
炎の蜃気楼(番外)真紅の旗をひるがえせ
炎の蜃気楼(40)千億の夜をこえて

以下ネタバレ妄想注意!

ですが。 未読でも是非、記事を読んで欲しい気が私はします。
このシリーズは、ネタバレ程度で面白さや作品としての価値が低下するほど生温いもんじゃないです。
たしかにまぁ、とんでもないネタバレもありますんで、 絶対大丈夫なんて口が裂けても言えるもんじゃないですが……。
これだけはまずいだろ! 
って部分は白文字で反転させないと読めなくしておきますので。
※ケータイは、確認したら白文字タグが効いてませんでした。
 ご注意下さいませ。



炎の蜃気楼(ミラージュ)(1) (コバルト文庫)炎の蜃気楼(ミラージュ)(1) (コバルト文庫)
桑原 水菜 東城 和実

炎の蜃気楼(ミラージュ)〈2〉緋(あか)の残影 (コバルト文庫) (集英社文庫―コバルト・シリーズ) 硝子の子守歌 炎の蜃気楼シリーズ(3) (炎の蜃気楼シリーズ) (コバルト文庫) 炎の蜃気楼(ミラージュ)〈4〉琥珀の流星群 (コバルト文庫) (集英社文庫―コバルト・シリーズ) まほろばの龍神 炎の蜃気楼シリーズ(5) (炎の蜃気楼シリーズ) (コバルト文庫) 覇者の魔鏡(後編) 炎の蜃気楼シリーズ(8) (炎の蜃気楼シリーズ) (コバルト文庫)

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・あらすじ
・感想ツッコミ編
・感想回想編
・ゲスト様レビュー



・あらすじ(全冊通しての大雑把な内容です)

舞台は現代。
400年前の戦国時代に、天下統一を果たせなかった戦国武将達が現代に甦って覇権を争っています。
その怨霊となった戦国武将達の戦いを総称して『闇戦国』と呼びます。
当時高校生だった仰木高耶は、その『闇戦国』に巻き込まれ、
彼を主君と呼ぶ直江信綱に出会い、自分の正体を知らされます。
高耶は、『闇戦国』を終結させるために父である上杉謙信の命により、
肉体を乗り換えながら400年生きながらえてきた上杉影虎という人物だったのです。

様々な理由からその自覚がなかった高耶ですが、
仲間である夜叉衆と共に『闇戦国』で戦い続けるうちに、封じられていた記憶が戻ります。
直江に対する恨みや憎しみ、それ以外の複雑な感情。
そして、直江が抱いていた高耶に対する感情。
想いのすれ違いや過去の確執からたびたび対立した二人ですが、
その関係は少しずつ、しかし確実に変化していきます。
そして迷走する『闇戦国』と、その終結の時。
最大の敵であった織田信長との戦いの決着、
怨霊だけでなく現代人まで巻き込んでふくれあがった『闇戦国』の中で、
直江と高耶は、自分たちの最上を模索しながら終わりに向けて走り続けます。
400年越しの答えが、40冊を超える分量に渡って書き綴られています。
彼らの出した答えの重みは、たぶん一生忘れません。


・感想ツッコミ編

読み始めたのは中学生の時、微妙に前後しますが、
確かまだボーイズラブなんてジャンルは知らなかった時でした。
正直なところ、1冊目を読んだ時は、
何がそんなに面白いんだ、ええ?
と思いました。
桑原水菜さんはこれの1巻がデビュー作になるんですが 、
新人としてはこんなもんかな……くらいの気持ちで、
貸してもらった2巻、3巻と読み進めていきました。

これが自分で買わないといけない状況だったら、
絶対に買わなかったでしょう。
いつかは読んだでしょうが、このシリーズと共に青春を歩むことは出来なかったと思います。

しかし。
巻を追うごとに面白さは加速していきました。

そしてそれは、このシリーズの路線変更と同時進行だったのです。


当初の内容をジャンル分けをするならば、
サイキックアクションホラー」あたりが妥当な線だったでしょう。
現代に甦った戦国武将を倒すために過去の記憶をなくした高校生が、
その記憶の鍵を握るキーパーソン(直江)と共に闘うお話。

……のはずだったんですが。


気付けば、直江が高耶にやたら執着していたり、
犯った犯られたの過去が明らかになったり、
おやぁ? と小首をかしげているうちに、
高耶と直江の関係は主人と忠臣から激変して、
いつの間にやら肉体関係という既成事実が成立


サイキックアクションホラーから、
サイキックアクションホラー風ボーイズラブへと見事な転身を遂げました。

(といっても、ボーイズラブなんてほんわかした雰囲気は、ほぼ皆無です。
JUNEでもなくやおいと表現するのも違う気がします。
だって400年越しの関係ですからねぇ……。
ちなみに私は 「KING OF HOMO」と勝手に命名してました)

その変化への決定的な1冊が「炎の蜃気楼(断章)最愛のあなたへ」です。

ここから20巻の十字架を抱いて眠れまで、怒濤の展開。
この20巻なんて、そっちのシーンの嵐でしたよ。

「いつまでも二人だけで生きていこう この密室の楽園で」
「自由だから苦しむんだ、奴隷になれば救われるんだ」

などといいながら、直江は精神崩壊しかけている高耶をほとんど強姦


「誰がオレを抱いているんだ」
と言う高耶に対して、直江は私を萌死なせかけた名台詞を吐いてくれます。
「死の国から、帰ってきた男ですよ。
あなたが愛しくて死にそうだったから、門番を殺して帰ってきた

思わず門番が気の毒になりましたが、直江はもちろん気にしません。


高耶も、精神がズタボロのまま自殺を図ったりと、
もの凄い状況でしたが、直江に屈服、というか、
直江の執着に蝕まれたというか取り込まれたというか。

この巻の後半、
昼も夜も関係なく、食べる寝る以外はずーっとやりっぱなし
というとんでもないことになってます。


これ以降も続く二人の激しすぎる関係は、たぶん、
「愛」なんつー一文字で語り尽くせるもんじゃありません。
ここから最終巻まで、彼らはずっと、
自分たちの最上を求め続けることになります。



そしてこのシリーズ、名台詞、迷台詞が多数あることでも有名(?)です。

ソフトなものでは、
「この空は……あなたをいとおしいと思う気持ちに、よく似ている」
「私は、あなたの一部になれれば、それでよかったんです」

ちょっとオイオイってのが、
「おとなの本気を教えてあげる」

そして究極


「あなたの犬です。

狂犬
ですよ」




特に最後の有名すぎるこの直江の台詞。
狂犬かよ!! 
と突っ込んだのは全国腐女子数万を数えます(推定)

また、これと表裏を成す高耶さんの台詞。


「あいつはオレだけに従う。

オレだけの犬だ」


彼も存外に激しいですね。


物語の後半は、これまでを上回る怒濤の展開で眼が回りそうです。
ストーリー的にも二人の関係もどんどん核心に近付いていきます。

作者の筆力と共に成長していったこの作品。
ボーイズラブにカテゴライズしてしまうのもためらいますが、
私の読書歴の中では決して外せない存在であることは確かです。


最後10冊くらいは、読むの痛いですよ。
ツッコミどころも満載なシリーズでしたが、
それ以上に考えさせられたし、感動させられました。


死んだら墓場まで持っていきたいですね




・感想回想編

さて。
ここからはシリアスです。

なにしろ、作中では400年、作外でも10年近くに渡って読み続けたシリーズです。
言いたいことも多いですが、とりあえず直江と高耶でしょう。

彼らなくして私のミラージュは成立しないです。

思い返せば、大学受験の際、
本断ちした時だって、ミラージュの新刊だけは読んでました。
だって、我慢する方が勉強に手がつかなくなりそうだったんですから。

高耶と直江が目指した最上の答えが示されるのを待ちながら、
新刊が出るたびに舐めるように読みました。
最後に示された答えは、
(この先、最大のネタバレのため白文字。OKな人は反転して読んで下さい)

表面をなぞれば、悲劇以外の何ものでもありませんでした。
高耶は、手を尽くしたが甲斐なく死亡。
転生も出来なくなる、魂自体の消滅となり、
対する直江は、高耶のいない世界で生き続けることを選択します。



それでも、待ち続けた答えでした。
40冊ぶんの重みを受けて絞り出された、
二人の最上の形でした。

最終巻近く、高耶は直江に言います。

「永劫の孤独を埋めてあまりあるほどの幸福を、おまえに」

すべてが終わったら、岬に小さな家を建てて、
二人で暮らそうと言います。

思えば、彼らにはそういった穏やかな時間というものが、
ほとんど存在しなかったのです。
400年間戦って戦って、傷ついて、
それでも魂を削って戦って、走り続けて、
立ち止まって休む時間が、びっくりするぐらいに少なかったんです。

できれば、ほんのひとときでも良いから、
そういう時間をあげて欲しかったな、と思います。
もう完結しちゃったのでどうしようもないですが。


しかしなんにせよ、中高大学生という時間を、
このシリーズと共に歩めて良かったと思います。
たぶん、大人になってから読み始めて読み終えても、
あれほど感動することはなかったでしょう。



高耶と直江が好きでした。
今でも好きです。

恐れ多くて同人なんてとても書けませんでした
思うに同人誌とは、作品に対してさらなる萌えを求めて、
「誰もやってくんないなら俺がやっちゃうもんね!」
と言う精神でもって生み出される代物なのです。
ミラージュの場合、本編だけで十分、萌死ねましたからね……。
傍で見ているだけで精いっぱい、という、
張りつめた作品でした。

……まぁもちろん、それなりに萌えさせて頂はしましたが。
(ミラージュ・ワインも飲みましたし、
作者執筆の同人誌もリアルタイムで読んでましたし、
友人と妄想話なんて日常茶飯事でしたけど!!)

またいつか、全巻読み返し敢行とか、やりたいです。
どんなに狭い場所に引っ越しても絶対売り飛ばしたりしませんから!



炎の蜃気楼に出会えて、
本読み・ボーイズラブ読みとして、
サイコーに幸せでした。




・ゲスト様レビュー

レビュー強奪第1弾、私の師匠のミラージュレビューでございます。
思えばミラージュの初期巻は、師匠に借りて読んだのでした。
いや懐かしい。

今は離れて暮らしていますが、
以前は身近な場所で色々ととてもお世話になりました。
現在も現在進行形でお世話になってる気もしますが……。

ちなみに我が師匠は、ブログで今も副業の(笑)占い稼業爆笑暴露話を、
さくっと披露しておられます。
占い師って……こんな人がやってるのね……。
と、遠い目になれること受け合いです
よろしければ覗いてみて下さいませ。別窓で開きます。
占い師ってどんな人?


ではでは、レビューをどうぞ!


知らない人の方が少ないのではないかと思われる程の名作ですが、
まぁ、何というか・・・アレですね
ある意味金字塔
コバルトで初めて伏字を見た時の衝撃は今でも忘れられません。
×の数を数えて、隠されているであろう語句を真剣に当て嵌めていたあの頃が懐かしい。


1巻は大して心を動かされる事もなく読んでから数ヶ月放置してありましたが、
ある時?を読んでみたらあまりにも?と印象が変わっており、
あわてて続きを買い集めました。
新刊の発売日に引越したばっかりに、
クタクタになりながら見知らぬ街を彷徨い歩いたのもいい思い出です。
最近出たメモリアルは昔同人誌等で出した再録だったりしますが、当時の熱さを思い出させてくれてなかなか素敵です。

誇り高いが故に孤独な景虎。

高潔過ぎて助けを求める事すら出来ない臆病な彼には、
やはり、直江しかいなかったのでしょう。
強引に犯す事で景虎に逃げ道を与え、憎まれる事で寄生するその技はまさに百戦錬磨の職人芸です。

あんな男に「あなたの犬です…」と言われ、ギリギリなカンジで迫られたらまず逃げ切れないですね。

かなりな読み応えですが、読まないと後悔すると思いますよ。

これからの季節、オリジナルビールを飲みながら読破というのもまたオツかと。



…ああ、そろそろバースデイ便を予約しなければ…。



約束を2時間30分程オーバーしてしまいました。申し訳ないです。

ところで..尾崎南はラインナップしなくていいのかね?


(師匠……忘れてました彼女の存在を!!
しなきゃいかんに決まっとりますね……いやなつかしい)






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