4044344086フロント・バック―東京ナイトアウト番外
川原 つばさ

角川書店 1998-06
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ボーイズラブ・レビュー



東京ナイトアウト番外編2巻です。
これはなんというか……。
1冊丸ごと忍の葛藤記みたいな内容になってます。


そもそもだ。
表紙画像が出ないのが許せん。
一樹さんが登場する唯一のナイトアウト表紙だというのに!!
くっそー。ケータイで撮って載せてやろうか……
↓これです(やっちゃったよ)
向かって左の花持って目閉じてるのが一樹さん。
右側が二葉で真ん中が忍です。
二葉の金髪の方が派手なんですね。
……日本人とアメリカンのハーフで、
いったいどーやったらこんな見事な金髪兄弟ができあがるんだよおい
とは突っ込まないように。
遺伝子のミラクルと言うことでスルーして下さいませ。

(しっかし。話ずれますが、一樹さん、教育学部で教育実習行ってるんですね。
誰ですか。こんなフェロモン垂れ流しの美形に授業してもらった幸せな生徒は?
羨ましすぎですから
いやでも、さぞかし目立ちまくって大変だったことでしょう……)


で、このフロント・バックなんですが、
前の番外と合わせて学園モノ色が強いんですが、
なかなか読ませてくれます。

というか、私はボーイズラブの中でも学園物は敬遠しがちだったんですが、
(面白くないのが多いという印象が強すぎて)
この2冊でちょっと考えを変えました。
特にさしたるツッコミどころがないこの1冊ですが、
激戦を勝ち抜いて我が本棚では殿堂入り
(ガラスの扉付き日焼け止め布貼りの本棚VIP)を果たしているのです。
学園モノと侮るなかれー。


この記事は珍しく真面目に語ります(たぶん)
だからあんまり笑いどこらがありません(おそらく)
なので、ネタ目当ての人にはあんまり面白くないと思います(メイビー)
ごめんなさい。



以下ネタバレ妄想注意!





紹介文です。


やっと自分の気持ちに気がついて、二葉と恋人として夏休みをすごした忍。
でも秋が近づくにつれて、なんとなく気分は下り坂。
いつも元気で自信たっぷりの二葉や、
単純だけど前向きな桔梗にひけめを感じているところに、
クラスメイトといざこざを起こし、学校に行きたくなくなってしまう。
なにもかも許してくれる大人の腕…一樹に忍はすがりたくなっていた。
それを知った二葉は?人気シリーズ『東京ナイトアウト』番外編第二弾。



忍はまわりに気を遣いすぎます。
それが良いところでもあるんですが。
言いたいことが言えなくてクラスメイトといざこざとかね~。
すみません、未経験です私……。
言いたいこと言って何が悪い、というノリで、
口先三寸・筆先三寸とか呼ばれてましたから、
ちょっとは忍を見習ったら良かったかも。
(良く友達できたよなー。でも敵も多かった気がする)

でも、日本人って基本的に以心伝心大好き民族なので、
言いたくても言わなかったりすることが多いんじゃないでしょうか。
言わないけど察してくれ! というような。
まぁそれも嫌いではないですが、察せられないことが多いのも事実ですよねー。


なので、私の場合はこういう繊細な子もいたよなーと、
ちょっと遠い目になるくらいのもんでしたが、
実際、中学生~高校生くらいの頃って、
こういう悩みを持つ生徒は多いんじゃないかと思います。

言いたいことが言えない→本当の自分を分かってくれる人がいない→ストレス→凹み

という。
これで、忍みたいに、もしくは大学受験期の一樹さんみたいに、
ちゃんと受けとめてくれる人がいれば良いんですけどね。
忍には一樹さんと二葉とあと桔梗がいたし、
一樹さんには、城堂さん(すでに鬼籍に入ってる、一樹さんの恋人)という人がいました。
そういう人がいるのは幸せですが、実は、相談できる人を持ってる人は、
他の人がしない努力を知らない内にやってる事が多いんだと思います。
だって親でもなけりゃ、そうそう他人の悩み事聞いて相談に乗ってやろうなんて、
あんまり思わないもんじゃないですか?
親友とか、自分の大事な人でないと、
自分の時間を割いてまで付き合おうなんて思わないですもん私は。
(自分が受け持ってる生徒はまた別ですけれど)


自分を表現する練習って、なかなか学校では教えてもらえないものですが、
意識して努力しないと、自分の胸内なんて人には分かってもらえないです。
テレパシストじゃないんですから、むしろ分かってもらえなくて当然。
くらいの心構えで、分かって欲しい時は書くなり喋るなりしなきゃ。
と思うと、だいぶ楽に暮らせるんじゃないかなー。

というわけで、今回は凹んでしまった忍が一樹さんを頼ったために、
恋人の二葉や親友の桔梗と喧嘩してしまう、というお話です。
(あ、2行で紹介おわっちまった)


私個人の感想としては、一樹さんの昔話が聞けてとっても幸せ

なんて身も蓋もないもんですが。


学園モノでも、ちゃんとテーマがあって、
キャラの心理を丹念に追いかけていけば、
面白いボーイズラブになる。
と悟りました。
安直な学園モノが多いのも紛れもない事実ですが……。
川原つばささんは、こういう年代の葛藤を正面から書くのが上手だと思います。

大事な人は体当たりで探さないと見つからないよ!

というメッセージが強烈に伝わってくるんですね。
こういう小説、私は好きです。


あと、作中に一樹さんが淹れていたお茶があるんですが、
告白します。
私これで中国茶に目覚めました
黄山毛峰というお茶ですが、薫り高くてとっても美味しいのです。
というか、一樹さんが淹れていたお茶……
一樹さんのお茶……
という脳内妄想の結果として、我が家ではお茶を美味しく淹れることが大流行。
主に妹が頑張りました
(私は飲む専門!)

黄山毛峰
黄山毛峰です。
コウザンモウホウと日本語読みでも良いですが、
中国の発音に則ってファンシャンマオフェンと読む方が雰囲気が出ます。

小説の中で現実にあるお店とか品物が扱われていると、
ものすごーく興味が湧くのって私だけでしょうか……。

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