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ボーイズラブ・レビュー
松岡なつきさんのボーイズラブは、相対的にラブシーンが控え目ですよね。
ストーリ-重視というイメージが、私の中にはあります。
というか彼女の場合、FLESH & BLOODシリーズの出来が良すぎて、
どうしても他の作品の点が辛くなると言う、ちょっと損な作家さんになってる気もします。
もちろん、だいたいどれを読んでも平均は超えている人なんですが。
同じ傾向の作家さんとしては、榎田尤利さんが挙げられると思います。
彼女も、デビュー作の魚住くんシリーズの完成度がべらぼうに高かったため、
正直、他の作品の評価がつけにくいです。
(ボーイズラブに拘らなければ、
デルフィニア戦記の茅田砂胡さんあたりもそうかと)
この手の作家さんは、自分で築いた壁を破るのに相当苦労するんじゃないでしょうか。
(松岡さんの場合は、まだF&Bが完結していないので、
また微妙に違うのかも知れませんが)
作家としては嬉しい、やりがいのある挑戦でしょう。
というか、一読者としては是非とも前作を超える作品を書き上げて欲しいものです。
完成度の高い代表作があると、ある意味かなりのプレッシャーです。
で、今回の「空に星があるように」は、ま、
軽く楽しめる作品でした。
帯のアオリは「野望か、愛か。」
と、これも最近のボーイズラブにしてはかなりおとなしめです。
ちなみに表紙は男二人が絡んでますが、ちゃんと服着てます。
ありがたやありがたや。
芸能界モノで、男三人の三角関係でしたが、
直接対決がなかったので、ドロドロにはなってません。
さらっと喉越しも爽やかにお召し上がりいただけると思います。
以下ネタバレ妄想注意!
では紹介文いきます。
映画の都・ハリウッドでの撮影!
特撮ヒーロー俳優の雅樹が再起を賭けたそのチャンスは、
大御所俳優・津川の淫らな陰謀と引き替えだった。
自ら選んだ道とはいえ、割り切れない心…。
撮影中、日米スタッフ間の軋轢にも困惑する雅樹は、
窮地を救ってくれた照明監督ジェイクに惹かれる。
真摯に愛を告げる濃いブルーの瞳に、立場など忘れて応えられたらいいのに…!
咲きかけた夢に、愛はきっと甘い罠。松岡なつき待望のオール書き下ろし。
芸能界では男でも身体を武器に仕事がもらえるのか……。
と嘆息したのは私だけでしょうか。
芸能界にはその手の人間が多いと、色々噂は聞こえてきますが、
なにぶん縁のない世界なので(何しろテレビもほとんど見ない)、
ちょっと想像がつきません。基本的に生モノは守備範囲外ですし。
しかし、仕事を与えるかわりに身体を要求するところまでは、
ま、いいですよ、別に。
立場はどうあれ、いちおうお互い納得ずくなんですから。
でもね。
二人とも泥酔してて勃ちもしないのに、
とりあえずせっかくのチャンスだからとばかりにバイブ突っ込むってどうよ?
受の方は初めてだってのに、そりゃないでしょう。
無茶するもんだから大出血ですよ。可哀相に。
しかも、救われないことにその攻はど下手で、
受くんは、もともとノーマルだったこともあり、
「男同士のセックスとか恋愛とかありえん!!!」
と思ってしまいます。
至極まっとうな流れだと思います。
で、その頑なになってしまった受に一目惚れしてしまったジェイクが、
涙ぐましい努力でもって受の嫌悪感を取り除き、
自分に目を向けてもらうという筋のお話です。
ジェイクは、雅樹の受けた仕打ちに対して、
大変な憤りを見せます。
「サディストめ。自分が同じ目に遭えば良いんだ」
はい。まったくもってごもっともなご意見ですが、
私はキレーでもないふけ顔の中年親父がバイブ突っ込まれて出血してるとこなんか、
絶対に見たくないですから!
相当な視覚的ダメージです。冗談ではありません。
で、その下手な攻のテクでも気持ちよくできるようなやり方を教えてあげる。
といって、雅樹をベッドに連れ込みます。
ここで最後までいかずに我慢したあんたはえらい。
(結局、次の日、2回目にレクチャーした時に最後までいっちゃいますが)
そんなこともありましたが、ジェイクは基本的な籠絡の手順は踏んでいます。
色々な話をし、おいしいごはんで餌付けをし、
かいがいしく世話を焼き、タイミングも良く物事が重なって、
最終的には相思相愛になってハッピーエンド。
という運びでした。
しかしなんというか。
女がジェイクと同じ事をやったていたら、
「抜け目のない女」とか、
「獲物を見つけて舌なめずりしながら追いかけるハンター」
という評価が下されるに違いないのですが(それが悪いとは言わないですもちろん)、
男がやるとなんでこんなに健気でかわいく見えるんでしょうかね?
なにはともあれ、安心して読めます。
冒頭でも言いましたが、エッチシーンは控え目なので、
ハードなのがいい人はちょっと物足りないかも。
ストーリー重視の人にはお勧めです。
↓WEB拍手です↓
アキミ
松岡なつきさん!
昔から好きな作家さんです。
「ブラックタイで革命を」なんて古いですが好きでした。
なによりエッチシーンが苦手で読み飛ばす傾向のある私にはストーリー重視のありがたい作家さんです。
アキミさまのお薦めなら買ってみようかな・・・。
ちなみにアキミさまはお話を読むとき、受けの視点ですか、攻めの視点ですか?
私はどうしても攻め視点で読むので受けが魅力的でないとダメです。
私の前世は攻め男だったと思います(笑)