4044468079目を閉じればいつかの海
崎谷 はるひ おおや 和美

角川書店 2004-09-28
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ボーイズラブ・レビュー



ええ、大人の恋愛モノです。
なんか珍しい感じがしますね。

っつーかこの小説。
ずっと購入を躊躇っていた理由というのが笑えまして。
平積みにされていた時に表紙を見た瞬間、

ああ、タクミくんシリーズ(ごとうしのぶ)の番外編か!

と、ほとんど無意識のうちに脳みそが判定を下し、
あのシリーズは完結してからまとめ読もう、
と決めていた私は、手に取ることすらせずにスルーしてしまっていたのですね。
(自慢じゃないが私の裸眼での視力は0.03くらいなのだ)
タクミくんシリーズは、
新学年がはじまるあたりからストップしているのです。
出るペースが遅いので、もう完結まで待つことにしています。
だから買わなかったんですが。私のバカバカ!


さて。ルビー文庫にしてはぶ厚い目の、
読み応えばっちりの1冊でした。
でもなー。
オトナ同士のお話なんだから、もうちっと、
シックな絵柄のイラストレーターさん起用しても良かったんじゃないかな。
どうも、おおやさんの絵柄って、
学生くらいまでの年代が一番マッチしてる気がするんですよ。
気のせいでしょうか。


以下ネタバレ妄想注意!




ではとりあえず紹介文を。

抗いながらも溺れていくしかできない……狂おしい大人の恋!
学生時代、無理矢理別れを告げた恋人・嘉悦に、
偶然再会してしまったカフェレストランの雇われ店長・藤木。
「もう一度やり直そう」と言う嘉悦の言葉に動揺するが、
彼の左手に指輪を見つけてしまい……。



というわけで、別れた男とヨリを戻すの一言でカタが付いてしまうお話なんですが。

しかしびっくりしましたよ。

こいつら、冒頭でいきなり別れ話してやんの。

しかも、高校生の痴話喧嘩みたいにぎゃーぎゃーやるんじゃなく、
やたら真剣に暗く、回想やらを交えながら、
受けが別れ話をしている!

攻の将来に、自分は影を落とすことしかできない。
という、一般的には至極まっとうな理由から、
健気に身を引く受。
ま、攻の本気が重すぎたというのもあったみたいですが。

ボーイズラブにはお約束の、
「やめて、やめないで(「別れる!」「引き止めて!」)」
というパターンには、当てはまっていないこの別れ話。
けっこうなページ数を割いた上、

本気で別れてしまいます。

あらら。

まあ本題は、その後、けっこうな年月が流れてから偶然出会った二人が、
紆余曲折の末ヨリを戻す所にあるんですが。

まぁ、受がショックを受けた原因(左薬指の指輪)もベタなら、
その指輪は勘違いなんだ! という勘違いの内容もベタでした。
ええけどね。
指輪がきつくなりすぎて、妻と別れたあとも外せなかったとか、
どうでも良いんですけどね!!


この話の真のツッコミどころは、冒頭とあとひとつ。

あまりにも背景のせつな系の設定と噛み合っていない、
非常に頑張って盛り上げようとしてるエッチシーンなのです。
なんつーか、終始しっとり、沈痛に考えて考えて悩みまくる受青年の、
葛藤の合間に、どうにもちぐはぐなエッチシーンが……。

下手ってわけじゃないのです、もちろん。
しかしですねー。
もうちょっとページ数抑えるか、そうじゃなかったら最後に一発でかいのを、
誤解がとけました良かったねおめでとう!的にぶちあげるとかでよかったと思うの。
合間合間に挟まる無駄に濃厚で長いエッチシーンでだれるんです。
なんか、エッチシーンが話の流れをぶった切ってる感じがして、
微妙なもどかしさを感じてしまったのでした。

全体的に、オトナの恋愛だし、脇役もちゃんと書かれてるし、
面白いのは面白かったんですけどね。
この業界、受けが健気で攻めが鈍感だと、話が切なくなる傾向が強いようです。

私は切ないの大好きですけどね!!

しかし、無理矢理エッチシーンを作中にねじ込むのは良くないと思います(大真面目)

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