4344805313蒼天の月
可南 さらさ 夢花 李

幻冬舎コミックス 2005-02-28
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ボーイズラブ・レビュー



最近、ボーイズラブ渇望期らしく、記事を書くよりやたら読みあさってます。
可南さらささんの著作を読むのはこれが初めてでした。
いわゆるジャケ買いといいますか、イラストとタイトルが気に入ったので購入しました。

後は設定かな。
私は100%ファンタジーなボーイズラブも大好きですが、
舞台は現代で中身がファンタジー、というのも同じくらい好きなのです。

一読後の感想、行きます。











……もったいない!!!











以下ネタバレ妄想注意!


ホントにもう、もったいないの一言だったのですよ。
もったいないお化けが出ます。

なんっって消化不良!

おいしそうなネタを山ほど転がして、でも料理方法間違えた~!
という感じでしょうか。



とても美しいと私が思ったのは、冒頭の場面です。
月夜に庭の古桜が満開に咲いていて、花びらが散り始めています。
その桜の幹に寄り添うようにして立っている血だらけのきれいな少年を、
主人公の青年(大学3回生)が見つけるのです。

その血だらけの少年と、主人公の物語です。
血だらけの少年は龍神に選ばれた異能の持ち主で、
力を使ったり回復させるためには人間と契約して「気」を分けてもらわないといけない。
そして、気に入られた青年、遙は、その契約を少年、牙威と契約を結びます。

で、助けてもらったりするかわりに「気」を分けるのですが、
その方法というのがボーイズラブではお約束のH、と言うことなんですね。

この作品の見所は、ファンタジーな設定を活かした主人公たちの葛藤にあります。
つまるところ、恋愛していく中で、
「こいつは僕を抱くけれど。それは僕が好きだからじゃなくて、
「気」を分けてもらうためだけなのじゃないか。僕は契約なんかなくても牙威が好きなのに」

という受青年の悩みと、
「俺のせいで遙を巻き込みたくない」
という思いから、思いきり求めることが出来ない攻少年の悩みが絡み合ったりすれ違ったりする過程です。

そこに、異能ゆえに誰とも心を交わせなかった牙威と遙(遙も軽いエムパス(感情感応)能力があるため、
人に触れるのを極端に警戒していました)のトラウマや、
物語に関わってくる、虐待されている少女の心が絡んで、
問題を解決していく中で二人は色々なことを考えて、
最終的には一種のカタルシスが生まれる。

という感じのストーリーなんですが。
面白くはあったんですよ。
私好みの話だったし。
でも、でもね。

一番痛かったのが、キャラがちゃんと書ききれなかったこと。
牙威は散々、「我が儘王子」と評されてからかわれているんですが、
ぜんぜん我が儘なとこないんですよ見る限りでは!
むしろ、子供っぽく嫉妬しながらも遙の気持ちを最優先に考え、
仕事で関わった相手のことも助けようとし、
住んでる屋敷の人間にもそれなりに気を遣い……、と、その年の少年にしては、
かなりまわりを見て動いているんです。
彼が我が儘だと書きながら、オイオイと突っ込みたくなるような具体的な我が儘に、
作中ではついぞお目にかかれなかったんですね。
いくら身内が「あの我が儘王子」と言っても、どう我が儘なのかがわかんないんだから、
ほえ? となっても仕方ないでしょう。

さらに、この小説のメインであるはずの二人の葛藤も、



甘い!



もっと派手にやってほしかった……。
なんか、内側で考えるだけで、気付いたら勝手に納得してて、
「俺たち、ずっと一緒にいようね」
ってなっても、感動が薄いんです……。
もういっそ、一回は派手な別れ話に発展するとか、
遙が敵に取り込まれて死にかけて、そこに牙威が助けに来るとか。
そうじゃないと、ただでさえファンタジーなんだから、現実感乏しすぎて、
主人公がきれいな場所に踏みとどまったままで緊張感なくて盛り上がらないような。
エッチシーンも、さすがにちょっとあれはどうよ?
ぼかして書くのは別にかまわんのですが、
あまりに現実感乏しすぎで、はっきり言ってナニやってんのか微妙に理解不能だったり。
もうちょっとHにも現実感とエロが欲しかったです。


でないともったいないよ~。


後もうひとつは、世界観に中途半端っぽくみえてしまったのです。
牙威の龍神の力ってつまるところいったいナニ?
なんで異能の発祥も詳述してないのに、いきなり石上唱文とか唱え始めてんのだ?
ありゃ、布留御魂大神を祀った神宮の祓詞であって、たぶん龍とは関係ないでしょ。
龍神って、どっちかっていうと、日本古来の土地信仰というか、
アニミズム的な象徴じゃないか?川の守り神、みたいな。
でも牙威は蒼い炎を使ってるし。四神のうちの青龍モチーフにしても、
どうもおかしいなぁとか。

牙威の他に作中に出てくる能力者って、ようは陰陽師なの?
それともオリジナルの能力設定なの?
陰陽師路線の真言がちょいちょい出てきたけど、
そのほかでは水を操ったりする女の子とかはナニ?
陰陽師系列の力じゃないよなぁ???
色んな力をごちゃ混ぜにし過ぎて、主人公のどこら辺がもの凄くすごいのか、
よくわかんなかった。



次があるなら読んでみたい。
と言うか是非もう2,3冊書いて気になった部分、補完してくれたら嬉しいな。

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